【薬剤師解説】バイアグラは本当に効く？効かない？成分や用法・用量について徹底解説！

バイアグラはファイザー製薬が名付けた商品名です。

成分名をシルデナフィルと言います。

ED（勃起不全）の治療に使われるくすりです。

勃起の仕組み

はじめに陰茎の構造から説明します。

陰茎は尿道と、これに沿う海綿体という特殊な構造からできています。

陰茎は根・体・亀頭の3部分に分けられます。亀頭の先端に尿道が開き、亀頭と体のあいだに深いくびれがある。

体を覆う皮膚は亀頭と移行部でたるんで、包皮とよばれる皮膚のひだを形成します。

包皮は小児では鞘状に亀頭を包むが、成人では包皮が後退して亀頭が露出する（露出しないものを包茎という）。

亀頭そのものの皮膚は性状が粘膜に近く、豊富な知覚神経が分布する。ここには包皮腺という一種の脂腺があり、その白い分泌物は恥垢の主成分となります。

陰茎の海綿体としては①尿道を包む尿道海綿体、②亀頭海綿体、③尿道海綿体の背面にかぶさる陰茎海綿体があります。

陰茎海綿体は尿道海綿体よりはるかに太く陰茎の勃起において重要な役割を果たします。

その際、尿道海綿体と亀頭海綿体はあまり硬くなりません。

（引用文献：藤田恒夫　入門人体解剖学　南江堂　p226）

性的な刺激などにより、陰茎海綿体の血流が増加することで勃起状態になります。

基本的にはくすりを服用しただけで勃起が起こるという事はなく、性的な興奮で神経が刺激されることが必要です。

性的な興奮がなくなれば勃起もおさまります。

バイアグラの作用機序

バイアグラは、陰茎海綿体のPDE5を選択的に阻害し、神経及び海綿体内皮細胞由来のNO（一酸化窒素）刺激により産生された陰茎海綿体内のcGMP分解を抑制することにより、陰茎海綿体平滑筋を弛緩させ、血流量が増加し、陰茎を勃起、維持させる。

（バイアグラ　添付文書より）

簡単に陰茎海綿体の血流を増加させることで陰茎を勃起させると理解していただければいいと思います。

バイアグラの用法・用量

通常、成人には１日１回シルデナフィルとして25mg～50mgを性行為の約1時間前に内服します。

ただし、高齢者（65歳以上）、肝障害や重度の腎障害の人では、薬剤の濃度が高くなりすぎることがあるため、25mgから開始しなければなりません。

さらに、1日の投与回数は1回として、24時間以上の間隔をあける必要があります。

バイアグラの作用時間について

バイアグラ錠50mgでは経口投与後およそ効果が出るまでの時間は、およそ10分～1時間前後です。

持続時間は用量により異なりますが、およそ2～4時間前後です（海外データによる）。

（バイアグラ錠　IF　p.45より）

ED治療薬には今まで説明してきたバイアグラ（シルデナフィル）の他にも、シアリス（タダラフィル）とレビトラ（バルデナフィル）という治療薬があるので、下記に比較表を載せておきます。

※用量により時間が異なります。個人差があるのでおおよその目安にしてください。

3剤ともにくすりの説明書では性行為の１時間前に使用すると記載されています。

効果は1時間前後で出るものと考えてよいでしょう。

持続時間にはかなり差があり、バイアグラは2～4時間程度ですが、レビトラは5～10時間程度とバイアグラより長くなっています。

シアリスは3剤の中で効果持続時間が最も長く24～36時間程度効果があります。

バイアグラが効かないケース　バイアグラを使わない方がいいケース

バイアグラが効かないケースとしては、物理的に陰茎に欠損がある場合。

または、神経に損傷がある場合などはバイアグラを服用しても効果が発揮できない可能性があります。

性的な興奮により、信号が大脳から神経を介して陰茎へと伝わります。

この信号により海綿体へ血流が流れ込みます。

そのため、神経に何らかの異常がある人などは効果が効果が出にくいかもしれません。

さらに、精神的に興奮が感じられるような精神状態でなければ効果は出にくいでしょう。

前述した通り勃起には性的な興奮により神経が刺激される必要があるためです。

バイアグラを使わない方がいいケースとしてはいくつか挙げられますので下記に当てはまる方はきちんと医師に相談しましょう。

・硝酸剤あるいは一酸化窒素（NO）供与剤（ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等）を服用中の患者
・狭心症などの心血管障害を有する患者
・低血圧の患者（血圧＜90/50mmHg）又は治療による管理がなされていない高血圧の患者（安静時収縮期血圧＞170mmHg又は安静時拡張期血圧＞100mmHg）
・脳梗塞・脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者
・網膜色素変性症患者
・アミオダロン塩酸塩を投与中（経口剤）の患者
・可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤（リオシグアト）を投与中の患者

比較的起こりやすい副作用としては血管拡張によるほてり感・紅潮（5.78％）や、頭痛（3.78％）があります。

（バイアグラ　添付文書より）

コンビニなどに置いてある精力剤との違い

コンビニやドラッグストアで買える精力剤とバイアグラはどのような違いがあるのでしょうか。

そのためには、まずは医薬品と食品の違いについて知る必要があります。

人が経口から摂取するものは食品か医薬品・医薬部外品のどちらかに当てはまります。

いわゆる健康食品は「食品」に分類されます。

法律上の定義は無く、医薬品以外で経口的に摂取される、健康の維持・増進に特別に役立つことをうたって販売された、そのような効果を期待して摂られている食品全般を指しているものです。

法律上いわゆる健康食品は効能・効果など身体に影響を及ぼす旨は記載できません。

食品で機能性表示ができるもとして特定保健用食品（トクホ）、機能性表示食品、栄養機能食品の3つがあります。

これらの食品については機能性表示が許されています。

例えば特定保健用食品の表示だと、「血圧が高い人に適する食品です」というような表示をすることが認められています。

コンビニに売っている精力増強をうたっている商品は食品成分に分類されます。

主にこれらの商品に配合されている成分はマカという成分が配合されていることが多いです。

マカはアルギニンというアミノ酸を含みます。アルギニンは精子の数を増加させたり精子の活動性を向上させるアミノ酸として知られています。

アルギニンはNOを産生するのでEDにも効果があると言われています。

さらに、マカとバイアグラと併用すると単独で服用した時より、EDの改善効果得られたという報告もあります。

（参考文献：L-Arginineの不妊治療における効果）

続いて、医薬品にはどのような分類があるのか確認します。

大きく分けて一般用医薬品と医療用医薬品の2つに大別されます。

一般用医薬品はドラッグストアで買える医薬品と思って頂けるとわかりやすいです。

要指導医薬品（要指導医薬品は一般用医薬品には分類されない）、第1類医薬品、第2類医薬品（指定第2類医薬品）、第3類医薬品に分類されます。

一般用医薬品に分類される精力剤には、メチルテストステロンのような男性ホルモンや、生薬成分を配合していることが多いです。

メチルテストステロンは精子形成を促進させる等の作用があるため、男性の不妊治療に使用されることがあります。

医療用医薬品は処方箋医薬品と処方箋医薬品以外の医薬品に分類されます。

処方箋医薬品とは医師の処方箋がないともらうことができない医薬品です。

バイアグラやシアリス、レビトラは処方箋医薬品に分類されます。

医師から処方してもらわなければもらうことができない医薬品です。

EDの治療効果（勃起の程度）という意味合いでは、マカなどの食品成分よりはバイアグラなどの処方箋医薬品の方が効果は出やすいでしょう。

ただし、それだけ身体に影響を及ぼすため注意が必要という事になります。

バイアグラを購入する方法

現在のところ、EDの治療は自費診療となります。

つまり、保険適応外のため10割負担で治療を受けなければなりません。

医療機関を受診してED治療薬を処方してもらうのであれば、どのED治療薬もおよそ1錠1000～2000円程度です。

ED治療薬を購入する方法は主に2種類あります。

1つは先ほど説明した通り、医療機関を受診して医師から処方してもらう方法です。

もう1つの方法は、医薬品の個人輸入という方法です。

医薬品の個人輸入は、他人へ授与したり販売する等の目的でなく、個人で使用する目的であれば医薬品医療機器等法には抵触しません。

詳しくはこちらをご覧ください。

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最後に

今回はバイアグラについて取り上げました。

やはり、コンビニなどで購入できる精力剤よりはバイアグラの方がEDに対する治療効果は大きいと言えるでしょう。

ただ、マカのようなコンビニで購入できるものでもバイアグラと併用することにより相乗効果を得られるという報告もあるので、色々と試してみるのがいいかもしれません。

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